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都市型の量り売りとゼロ・ウェイストな買い物体験。CIRTY BIOSK by Totoyaに行ってみた

ゼロ・ウェイストや量り売り体験など、サステナブルな取り組みを行うお店を訪れ、エシカルなライフスタイルへの一歩を踏み出すためのヒントを提供する本連載。第1回目は「CIRTY BIOSK by Totoya」をレポート。実際にどのようなお買い物体験ができるのか、その様子をわかりやすく紹介する。

今回、FLOWオーナーのHIROMIさんと一緒に訪れたのは、代官山駅前の東急不動産が手掛ける環境に配慮した複合施設「フォレストゲート代官山」内に店舗を構える「CIRTY BIOSK by Totoya(サーティー・ビオスク・バイ・トトヤ)」。京都に本店を構える、日本初のゼロ・ウェイストスーパーマーケット「斗々屋」の新業態として、2023年10月19日にオープンした。どのようなお買い物体験ができるのか、その様子をお届けする。

“キオスク×ゼロ・ウェイスト”がテーマの都市型店舗

フォレストゲート代官山 TENOHA棟では、「CIRTY(サーティー)」というサーキュラーエコノミー(循環経済)を日常に取り入れられる活動やコミュニティ形成を行っている。その活動をともにつくり上げる「CIRTY BIOSK by Totoya」は、“キオスク×ゼロ・ウェイスト”がテーマ。
気軽に立ち寄れて、すぐに持ち帰れるという利便性はそのままに、使い捨てのパッケージを使用せず、量り売りを採用していることが大きな特徴だ。

秘密基地を思わせるようなコンパクトな店内には、厳選された食材や調味料、スナック、おつまみなどが並ぶ。例えば、オーガニックの自家製グラノーラ「京都のプラリネソルト」や、藤原みそこうじの無農薬米みそ、堀田農園のハッサク、Galuffa農園のオリーブオイルなど。
その数は、約200種類。食材の選定基準はオーガニックを前提に、美味しさが重視されている。青果物は九州、長野、山形、そして本店のある京都など、国産のものを多く仕入れているほか、調味料なども全国の老舗店などから仕入れているものが多いという。

これらの食材はデポジット制のリターナブル瓶に詰められていて、そのまま購入することができる。使用後に返却すると、フムスの容器は50円、その他のリターナブル瓶については100円が返金される。また、マイ容器に入れ替えることも可能だ。店内では繰り返し使用できる容器が販売もされており、容器を持ち歩いていなくても気軽に立ち寄って買い物ができる。

必要な分だけを購入できるバラ売り・量り売りシステム

店舗の外の棚には、自然栽培・オーガニック・無農薬の新鮮な青果物が並ぶ。すべての商品に産地や農場名が明記されている。季節によってラインナップが変わるため、訪れるたびに異なる商品に出会えるのも魅力だ。

「当店では、テイクアウトドリンク用のカップや瓶詰めの商品を購入いただく場合、容器のデポジットとして100円をいただいています。これによって、お客様に容器代や商品の価値を自然に理解していただくことができます。」(スタッフ)

野菜や果物、きのこはすべてパッケージレスのバラ売りで、欲しい個数や分量だけ購入可能。

卵も必要な分だけ購入できる。何度も再利用可能な卵パックを使用することはもちろん、自宅にあるたまごパックを持参することも可能。

きのこ類は、設置されているザルに必要な分を入れるだけ。これらのバラ売りの商品は、レジで店員さんが重さを量ってくれる。

「このエノキタケ、いつもスーパーで見かけるものとは色や大きさが違いますね!きのこも欲しい分だけ取り分けて買えるなんて驚きです!これはBIOSKならではの体験ですね。」(HIROMIさん)

具沢山のポタージュやポトフ、野菜がたっぷり入ったカレー、レンズ豆のぜんざいなども並ぶ。これらは購入後、その場で温めて食べることも可能。長い期間日持ちするため、災害時に備え、保存食としてストック買いする人も多い。

店内に並ぶオーガニックの自家製グラノーラやお米、オリーブオイルなどの液体も量り売りで購入することができる。購入方法は、至ってシンプルだ。

まず容器を電子の秤にのせ、容器の重さを表す「風袋」を「ゼロ」に設定。その後、商品を容器の中に入れ、機械に商品番号を入力し、秤で重さを量る。重量と金額が印字されたラベルを容器に貼り付け、レジで精算すればOK。

電子の秤にはカメラセンサーが搭載されており、ほとんどの商品は計量時に自動で商品を識別してくれる。このように、量り売りの作業にIT技術を活用することで、使い手に不便を感じさせないような工夫がされている。

「初めて来店される方も多いですが、何も持ってきていなくても、リターナブル瓶や当店で販売している繰り返し使える容器で量り売りができるので、心配は要りません。初めての方には、『次回からは自宅にあるタッパーなどを持ってきていただければ大丈夫ですよ』とご案内していますが、再来店される際には多くの方が容器を持参されていますね。」(スタッフ)

今回購入したもの。オーガニックのバナナやりんご、カラフルトマト、きのこ、平飼い卵、オリーブオイル、お米、スパイス、ナッツなど。

 

容器回収を活用して、循環する買い物サイクルを

「CIRTY BIOSK by Totoya」では、店頭で容器回収を行っている。京都本店および代官山で購入したリターナブル瓶はもちろん、紙のショッパーや卵パックも回収して再活用してくれる。再来店時に気軽に返却できるため、多くの人が利用している。
さらに、斗々屋がプロデュースしているオリジナルのレトルト食品の瓶は、商品の取扱のある全国のゼロ・ウェイストショップでも返却・返金が可能であり、今後このような循環型システムをさらに広げていくことも目標だ。

また、隣接する「CIRTY CAFE(サーティーカフェ)」の2階にはCIRTY活動の一環として回収ボックスが設置されており、「CIRTY BIOSK by Totoya」では保管スペースの問題で回収が難しいテトラパックマークが付いた紙容器(綺麗に洗ったもの)の回収も行っている。

紙容器以外にも、トップスやボトムスなどの衣類(やぶれやシミ、過度の毛玉があるものは不可)、ベルトやキャップといったファッション雑貨や、ぬいぐるみなどのホビー用品も回収している。これらの資源は、選別・再流通を一気通貫で行うサービス「PASSTO(パスト)」との連携により、回収・循環を実現している。

回収された不要品は、循環商社「ECOMMIT」によって国内外でリユース品として再流通させられるほか、リユースが難しいものはリサイクルパートナーを通じて再資源化される。使い終わったものや不要になったものは、こうした回収ボックスに入れることで資源循環が可能になるため、気づいた時に持ち寄るのもいいだろう。

また、毎月第二金・土曜日には、TENOHA代官山の屋外エリアで開催される「CIRTY MARCHÉ(サーティーマルシェ)」で、「服と本の交換会」というイベントを開催。手放したい服や本を持ち寄り、通りすがりに欲しいものがあれば無料で持ち帰れるシステム。誰かが手放したものが、誰かにとっての新しい出会いとなるような、心温まる循環が広がっている。

「今回、量り売りや容器回収を体験しましたが、どこからきた食材なのかを丁寧に教えていただいたので、とても気持ちの良いお買い物ができました。店員さんが生き生きと働かれている様子が伝わってきたのも良かったですね。もし近くにこういう店舗があったら、何回でも通いたいです。」(HIROMIさん)

「CIRTY BIOSK by Totoya」では、いつでも気軽に店頭のリターナブル瓶や繰り返し使える容器を活用して、快適に買い物を楽しむことができる。量り売りやゼロ・ウェイストを取り入れたサステナブルな店舗は国内でも増加しつつあるため、住んでいる場所の近くを探してみることをおすすめしたい。身近な場所から、ミニマムでエコな生活を手軽に、そして楽しく実践してみてはいかがだろうか。

◾️店舗情報

CIRTY BIOSK by Totoya

営業時間:11:00~19:00
定休日:なし(斗々屋京都本店同様に月1不定休みあり)
住所:〒150-0034 東京都渋谷区代官山町20-12 Forestgate Daikanyama TENOHA棟
※情勢により営業時間の変更がある可能性があるため、最新情報は公式Instagramをご確認ください。

◾️取材協力:CIRTY BIOSK by Totoya(https://totoya-zerowaste.com/
       CIRTY(https://cirty.jp/about/

フォトグラファー/岩渕沙苗
モデル/HIROMI

藤井由香里

ライター/編集者

京都出身、東京在住。環境問題や日本の文化、ものづくりの背景に興味関心を持つ。2022年に独立し、フリーランスのライター・編集者として活動中。Webや紙など媒体を問わず、幅広い分野で取材・執筆・編集を行う。 https://www.instagram.com/yukaringram/

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